若くても突然死してしまう事がある
インデペンデンスデイ久保田さんが36歳の若さで急死されたというショッキングなニュースが流れてきました。死因は体調不良の悪化とのことです。
テレビでも見ていた方ですし、私自身が37歳で同年代という事もあり、死は若くても起こり得るという事を改めて実感しました。
そこで、今回は、30代・40代の同年代の方に向けて、突然死のリスクについてと、そうならないようにするためやっておくべきことをまとめます。
私にも家族がいます。今、家族を残して突然死なんてできませんよね。
30代・40代の死亡について
厚生労働省で取りまとめられている、令和3年(2021) 人口動態統計月報年計(概数)の概況によれば、令和3年に日本での死亡者数は以下の通りです。
- 30~34歳:男性1837人、女性1025人
- 35~39歳:男性2770人、女性1521人
- 40~44歳:男性4442人、女性2711人
- 45~49歳:男性8707人、女性4964人
こうやって見ると、30代から40代にかけては、もう死亡する数が増加する年代なんだなあと感じます。
死因については概況の以下の図が分かりやすいので添付します。
若い年代では男女ともに自殺が死因としては多いですが、30~34歳から自殺の死因の割合は減少に転じます。
代わりに違う死因の割合が増えています。
脳血管疾患・心疾患・悪性新生物(いわゆる癌です)が男女ともに増加してきます。
特に悪性新生物の増加が目立ちますね。
また、脳血管疾患・心疾患が問題になり始める年代であるという事も非常に重要だと思います。
若い年代での突然死の原因
突然死というのは一般的に症状が発症してから1時間程度でなくなる事です。
悪性新生物でなくなる場合は、突然死の経過をたどる事は少ないです。
やはり突然死の経過をたどるのは脳血管疾患や心疾患である事が多いです。
40歳以上の突然死は、動脈硬化性の冠動脈の疾患(心筋梗塞や狭心症)によることが大半です。(Circulation. 1998; 98: 2334–2351.)
40歳より若い年代では、動脈硬化性の冠動脈の疾患の数が少なくなる分、その他の病気が突然死の原因になる事があります。
1990年から2009年に行われた研究を統合して解析した結果、40歳未満の突然死症例の約69%に心臓の異常があったとされています(Arrhythmia and Electrophysiology. 2010;3:96–104)
心臓の異常の内訳としては、冠動脈の病気が最多の約31%、続いて心筋炎、左室肥大、肥大型心筋症、拡張型心筋症などです。
遺伝性の突然死の原因として有名なのは、心筋症、家族性高コレステロール血漿などによる冠動脈の疾患、QT延長症候群やbrugada症候群などの不整脈疾患です。
突然死しないように気を付けるべき事
①まずは、冠動脈の疾患にならないように、よい生活習慣・運動習慣を身につける事
40歳以上での突然死の多くは冠動脈疾患、40歳未満でも多くは冠動脈疾患を有していたことから、やはり予防すべきは冠動脈疾患ですね!
冠動脈疾患は多くの場合は生活習慣病です。
冠動脈疾患の危険因子として有名なのは以下の通りです。
高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満
これらの要素を減らすようによい生活習慣・運動習慣を身につける事に努めましょう!
②心臓の病気を早期発見するために定期的な心電図などの検査を受ける
日本では1973年から12-15歳の児童に心電図検査を行っていますが、0.024%と非常に割合は低いですが、突然死の危険性が高い人を同定する事ができているそうです(Med Sci Sports Exerc. 2006; 38: 2–6.)
また、台湾でも児童に病歴聴取、心電図、心音図(日本では一般的ではないと思います)でスクリーニングを行った結果、0.7%に心臓の病気を診断する事ができたと報告されています(Arch Pediatr Adolesc Med. 2009; 163: 233–237.)
心臓の病気が発症すると心電図などでの変化も現れますので、健康診断など定期的に検査を受けておくことは有用かもしれません。特に息切れや疲れやすいなど症状が出ているならば、要注意ですね。
まとめ
- 30代・40代でもなくなってしまう事はある
- 30代・40代は脳血管疾患・心疾患が問題になり始める年代である
- 突然死の原因は冠動脈疾患や他の心臓の病気である事が多い
- 突然死しないように気を付けるべきことは①冠動脈疾患にならないようによい生活習慣・運動習慣を身につける事②心臓の病気を早期発見するために定期的に検査を受ける事