再発予防・健康維持のための生活習慣の知識

貴方の食事の塩分は大丈夫?〜年齢による味覚の変化と食品選びの注意点について〜

先日久しぶりに実家に帰省した際に、実家のご飯を食べ「塩気が強い」と感じました。私の家系はみんな高血圧を指摘されています。私も健康診断でやや血圧が高いと指摘されたことがあり、それ以来、日々の食事で「減塩」を意識するようになりました。

「減塩」は、高血圧や心臓病などになると必ずと言っていいほど医師から言われますよね。入院したことのある方の多くは、「病院食は味がないから食べれない」、「これからこの食事に慣れないといけないのか、、、」と感じるのではないでしょうか。

日本は醤油や味噌といった塩分を多く含んだ調味料を使用する習慣があります。また、食品を長期間にわたって保存するためにも塩をよく使います(漬物、ソーセージなどの加工肉など)。塩気のある食事は美味しいですが、塩分の摂りすぎは心臓にとっては悪影響です。

今回は塩分制限についてまとめます。

日本人の塩分摂取量(地域別)

まず、日本人の塩分摂取量について、厚生労働省が実施した令和元年国民健康・栄養調査の結果(20歳以上)によると以下のように報告されています。

地域北海道東北関東Ⅰ関東Ⅱ北陸東海
摂取量(g/日)10.110.610.59.810.79.7
関東Ⅰ:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
関東Ⅱ:茨城県、群馬県、栃木県、山梨県、長野県
地域近畿Ⅰ近畿Ⅱ中国四国北九州南九州
摂取量(g/日)9.89.99.79.29.89.6
近畿Ⅰ:京都府、大阪府、兵庫県
近畿Ⅱ:奈良県、和歌山県、滋賀県
北九州:福岡県、佐賀県、長崎県、大分県
南九州:熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

北海道、東北、北陸など寒い地方が特に摂取量が多いですね。この調査では男女の比較もされており、全ての地域で男性の方が女性よりも塩分摂取量が多い結果となっていました。

世界と比較(参考:国立健康・栄養研究所.諸外国の栄養素等摂取量について) すると、

アメリカ:8.8g /日、韓国:7.8g /日(※1歳以上)、オーストラリア:6.2g /日、ドイツ:男性8.8g /日 女性6.3g /日、などとなっており、

日本は特に塩分摂取量が多いことがわかります。なので、そもそも日本人という時点で塩分を取ってしまいがちなんです。

ちなみに、日本人で塩分を8g /日以上摂取している人のうち、食生活を改善する意思がある人(すでに改善に取り組んでいる人を含む)は40.3%にとどまっており、塩分を取り過ぎているという自覚症状はありません。

年齢による塩味の感じ方の違い

先ほどは地域ごとに塩分の摂取量についてまとめましたが、年齢によっても塩分摂取量が異なるというデータもあります(厚生労働省.令和元年国民健康・栄養調査)。

年齢20歳代30歳代40歳代50歳代60歳代70歳代80歳以上
食塩摂取量(g)9.49.49.79.810.710.69.5

これを見ると、加齢とともに塩分摂取量が増えていることがわかると思います。

加齢に伴い味の感じ方が変化するという報告がいくつかあるのですが、その中でも塩味の感じ方について分析した論文があります。(Sato.Sci Rep.2022 May 9;12(1):7558.doi: 10.1038/s41598-022-11442-y.)

この論文は、60−81歳の方31名と、21−39歳の方43名を対象に、塩味の濃さと塩味を感じるまでの時間について解析しています。その結果、塩味を感じるまでの時間は年齢による違いはないのですが、同じ塩味の濃さであっても若い人と比べ高齢の方は少し薄く感じてしまう、という結果になっています。

つまり、加齢とともに塩味を感じにくくなってしまうので、食事に塩分をより多く加えてしまっているのかもしれません。

貴方の味覚は大丈夫でしょうか?

減塩が必要な理由と目標値

では、なぜ心臓病の方は塩分制限が必要なのでしょうか。

食塩の主な構成要素であるナトリウムは、水を溜め込む性質があります。体の中のナトリウムの量が増えると、水を溜め込みナトリウム濃度を薄めようとするのです。そのため、体の中の血液の量が増え心臓への負担が増えてしまうのです。

塩分摂取量の目標値は、

 高血圧:6g /日未満(高血圧治療ガイドラインより)

 慢性腎臓病:6g /日未満、3g /日以上(CKD診療ガイドラインより)

 心不全(心臓の機能が低下した方) :6g /日未満(急性・慢性心不全診療ガイドラインより)

となっています。

普段私たちが口にしている食べ物には多くの塩分が使用されています。醤油や味噌はもちろん、ドレッシング、コンソメ、カレールーなどにも塩が含まれています。

減塩を行うために、減塩調味料やブラックペッパー、唐辛子といったスパイスを使用する、味を染み込ませないように調理する、などの工夫を行う必要があります。

また、普段スーパーやコンビニで販売されている商品には、「栄養成分表示」が記載されています。そこには「食塩相当量」が記載されているので、購入する際に確認することも重要です。

味覚だけに頼ることなく、栄養成分表示などの情報を参考に普段の食事に含まれている塩分を確認する事は重要です。

まとめ

  • 日本人はもともと塩分摂取量が多い
  • 塩分の過剰摂取は心臓への負担の増加につながる
  • 普段の食事に含まれている塩分を確認する習慣をつけましょう
  • 減塩に関するレシピも随時更新していきますので、ぜひ参考にしてみてください!

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