心筋梗塞はいわゆる心臓発作です
突然は発症して、命も奪ってしまう、絶対になりたくない怖い病気ではないでしょうか。
ただ、心筋ってどこ?梗塞ってなに?って感じで感じを見てもイメージには直結しませんよね。
今日は、心筋梗塞について、身近な例を交えながらできるだけ簡単に解説します。
本記事の内容のダイジェストを1分間の動画でまとめています。
心筋梗塞とは?
「しんきんこうそく」と読みます。
心筋というのは、心臓の筋肉の事です。心臓は基本的には心筋細胞の集合体で、筋肉の塊です。心筋が順番にリズムよく収縮・拡張を繰り返すことで、血液を送り出すポンプの働きをしています。
筋肉を動かすにはエネルギーが必要です。
足や手の筋肉にも血液を循環させ、酸素や栄養を送っているように、心筋にも血液を循環させ、酸素や栄養を送る必要があります。
この、心筋に血液を届けているのが冠動脈と言われる動脈です。
心筋と冠動脈との関係は作物と水路の関係に似ています。
上の写真は、オランダのとある村の手掘りの運河と水路です。
大きな水路から枝分かれするように、小さな水路があり、農地を潤おしています。
この水路がせき止められると、どうなるでしょうか?
例えば、このような岩がドンと水路をふさぐと、赤で囲った範囲の農地には十分な水が行かなくなってしまいます。
そうすると、作物は水不足になり、何日も水不足の状態が続くと、枯れてしまいます。
この状態になると、再度水を上げたとしても、残念ながら、作物は枯れたままでしょう。
心筋梗塞というのは、冠動脈が閉塞して、閉塞した先の心筋に血液が流れないため、心筋が死んでしまう病気です。
動脈が閉塞してその還流組織に壊死(病的な死)が起こることを梗塞と言います。
写真の石のように、突然水路をふさいでしまうものが出現するのが心筋梗塞の原因です。
冠動脈の中では、動脈硬化で血管の壁にプラークと言われるコレステロールがたまったコブができ、それが大きくなって破裂してしまう事で、冠動脈をふさいでしまう血栓ができます。
心筋梗塞を放っておくと?
水路がたたれた場合は、作物は徐々に枯れていしますよね。
心筋梗塞でも同様で、冠動脈に血栓が詰まっている先の心筋が徐々に枯れていきます。
時間が経てばたつほど、枯れてしまう心筋の量は多いです。つまり心筋梗塞の範囲は大きくなります。
心筋梗塞が大きければ大きいほど、心臓へのダメージは大きいです。
十分に血液を拍出するパワーがなくなったり、不整脈や心破裂などの合併症を起こす危険もあり、命も危なくなります。
少しでも早く、冠動脈の閉塞を解除し、心筋に血流を戻すことが大事です。
そのために、我々医療者は、心筋梗塞になった患者さんが病院で受診したら急いでカテーテルの治療を行っています。
胸の痛みでもがく患者さんをストレッチャーに乗せてカテーテル室に急行します。
心筋梗塞は治るの?
心筋梗塞で枯れてしまった心筋はまたもとに戻る事はありません。
それは、枯れてしまった食物にいくら水を上げても復活しない事と一緒です。
枯れてしまった部分を補うように心臓が大きくなったりと変化する事はあります。
もとの状態には戻る事はないですが、交感神経の過度な働きを抑えて、心臓の負担を和らげるような薬など悪くならないための治療は発展しています。
あまりにも心臓梗塞が大きい場合は心臓移植や人工心臓も選択肢として考えられます。
注意すべきは、動脈硬化による病気なので、他の冠動脈でもまた新たに心筋梗塞を起こす危険性がある事です。
再発防止のためコレステロールの管理をします。
運動療法も心筋梗塞の再発予防のための立派な治療ですので、適度な運動を生活の取り入れるようにしましょう。
まとめ
- 心筋とは心臓の筋肉の事、梗塞とは動脈が閉塞してその還流組織に壊死(病的な死)が起こること
- 心筋梗塞というのは、冠動脈が閉塞して、閉塞した先の心筋に血液が流れないため、心筋が死んでしまう病気
- 心筋梗塞が発症した場合は、放っておくと徐々に心筋は枯れていくので、できるだけ早く冠動脈の閉塞を解除し、心筋に血流を戻すことが大事
- そのために急いでカテーテル治療を行っている
- 心筋梗塞で枯れてしまった心筋はまたもとに戻る事はない
- 心臓の負担を和らげるような薬や、再発予防のためのコレステロールの管理、運動が心筋梗塞になった後の治療になる