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【循環器内科医解説】心不全の初期症状3選~重症化して入院すると6人に1人は助からない病気~

はじめに:心不全とは何か

心不全というのは大変怖い病気です

重篤な心不全は一般的ながんよりも危険であると言われており(心臓病財団)、最重症のNYHAⅣと言われる状態で入院した方の6人に1人はなくなっています(Circ J 2016; 80: 2327–2335

そんな怖い病気である心不全は、日本には120万人の心不全患者さんがいるといわれています。100人に1人です。(国立循環器病研究センター

大きな特徴として、年を重ねれば重ねるほど発症率が上がるということがあります。

下の図でもわかるように、60歳頃を境に、心不全の発症は急激に増加し、若いころの数十倍のリスクを抱える事になります。

https://doi.org/10.1253/circrep.CR-21-0142

日本では現在どんどん高齢化が進んでおり、心不全の数も急激に増加する事が予想されており、“心不全パンデミック”という言葉も生まれました。(NHKクローズアップ現代

それほど、心不全の増加に対する危機感が高まっています。

今日は、そのような心不全が起こった時に早めに自覚し、重症化を防げるように、心不全の初期症状をまとめました。

私の10年以上の循環器内科医としての経験を凝縮しています。

今まで心臓の血管や弁の病気を指摘された方、もしくは、高血圧・糖尿病・脂質異常症など心不全のリスク因子をお持ちの方は必見です!

病態について

まずは、心不全とは、心臓が体全体に十分な血液を送り出すことができない状態を指します。

式で示すと以下のような状態です。

心不全の状態

心臓から送り出せる血液の量 < 体全体が求める血液

これは、心臓と血管のどこかで異常が起こって血液の循環が妨げられると起こります。

心臓の筋肉が弱くなったり、硬くなったりすることで心臓の拍出の力が落ちることや、弁膜症が障害物となったり、血圧が急激に上がることでも、体全体に十分な血液を送り出すことが難しくなることがあります。

心不全は徐々に進行することが多いですが、急性に発症することもあります。

心不全の初期症状1:労作時の息切れ

心不全とは、体が求める血液量を心臓が十分に送り出せない状態でしたね。

そのような状態は、運動する時に顕著に現れます。体が求める血液量が多くなり、弱った心臓の能力が明るみになるからです。

その結果、運動や労働を行うときに呼吸困難を感じることがあります。特に階段を上る、荷物を運ぶなどの活動で息切れが起きやすいです。

典型的な患者さんの症状は、以下のようなことです。

1か月前ほどまで休まず上れていた階段や坂道で息が切れるようになり休憩をしないといけなくなった

数週間前から、布団干しや掃除の時に、息が上がるようになった

数年かけて徐々に進行する息切れは、老化によるものかもしれませんが、もっと短期間で明らかな変化がある場合は心不全の可能性が高くなると思います。

心不全の初期症状2:足のむくみ

心不全が進行すると、心臓が血液を体全体に送り出す能力が低下し、血液が体の組織に滞留します。特に下半身では重力の影響で血液が溜まりやすく、まずは、足や足首にむくみが生じます。

靴下の跡がくっきり残るようになるのが分かりやすい変化です。

年齢を重ねると足はむくみやすいようになりますが、以下のような事があれば心不全の可能性が高くなります。

  • 夕方だけでなく朝も足がむくんでいる
  • 体重が増加した
  • 足だけでなく顔もむくんでいる

体重については、1週間で2kg増加したら要注意です。

注意すべき体重の変化については以下の記事も参考にして下さい。

心不全の初期症状3:脈拍の上昇

心臓が血液を体全体に送り出す力が弱くなった心臓は、1回の収縮で送り出せる血液の量が少なくなります。

そこで、より頻繁に拍動する事でそれを補おうとして、心拍数が増加します。

安静時脈拍・運動時脈拍が前よりもずっと高い状態が続いている時は要注意ですね。

以前は、自宅で脈拍を測るという事が一般的ではなかったので、頻脈の上昇が心不全の兆候という事は言われてきませんでしたが、私は今後これは1つの重要な兆候となると思っています。

というのも、現在では、apple watchなどのウェアラブルデバイスで手軽に脈拍を測り、記録を付ける事が可能だからです。

スマートウォッチといっても実は脈拍の精度はまちまちです。

運動生理学の分野ではスマートウォッチの脈拍精度の研究が進んでいて、ご興味ある方はこちらの記事も参考にして下さい。

結論から言えば、私はApple Watchをお勧めします。

心不全の早期発見と診断

これらの症状が見られたら、すぐに医療機関に相談することをお勧めします。

すこし病状が進行すると、寝ているだけでも息が苦しくなったり、もっと悪くなると咳がひどくなり、赤い泡上のタンが出たります。

心不全は、レントゲンやエコー、血液検査などの検査により診断します。心不全と診断したら、心不全の原因を特定し治療を行います。

人は忘れる生き物です。それは仕方ない事です。

だから、知識を定着させ、行動につなげるためには工夫が必要です。

いろいろな形で情報に触れる事で、知識は定着していきます。

この記事の内容は、youtubeでハスキー先生が解説してくれていますので、そちらも参照してください。

本サイトでは、他にも心臓病に関わる医学的な知見がまとめられているので、他の記事も読んで頂くと、知識の定着に役立つと思います。

合わせてご参照下さいね。

まとめ

心不全の初期症状を3つ厳選すると以下の3つです!

  • 労作時の息切れ
  • 足のむくみ
  • 脈拍の上昇

心不全と言われたことがない人も、すでに心不全と言われている人も、この3つの症状に注意してください。もし、症状が出た時は、早めに病院で調べてもらう方がいいでしょう。

この記事は一般的な情報を提供するものであり、具体的な医療アドバイスを提供するものではありません。症状がある場合は、医療機関に相談してください。

それでは、今日も健康で貴方らしい1日を♪

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