健康診断や病院でとった心電図で期外収縮と言われましたか?心臓の鼓動が不規則に感じることがあるなら、きっとそれが期外収縮という不整脈です。
不整脈と聞いて心配されている方も多いのではないでしょうか?整っていないって事は放っておくと、さらにぐちゃぐちゃになりそうですよね。
この記事では、期外収縮について、循環器内科専門医が確かな価値ある情報を選りすぐり、知識0の方でも分かるように解説します。
なぜ起きるのか、危険なのか、どうすればよいのかをわかりやすく説明します。
期外収縮とは?
a. 期外収縮の概念
”きがいしゅうしゅく”と読みます。
期外収縮は不整脈の一種で、心臓の正常なリズムから外れた1回の早い(もしくは遅い)鼓動です。
心臓は100億個の心筋細胞で構成されており、心臓が収縮する時には、ドミノ倒しのドミノが倒れるように、心筋が次から次に順序良く収縮します。
ドミノを立て直して、また先頭から順序良く倒れるという事の繰り返してです。それを1日で10万回繰り返しているんです。
手が当たるなどのアクシデントでドミノ倒しのドミノが先頭ではない途中の部分から倒れ始める事があるように、心筋の先頭からではなく、違うところから心筋から収縮が始まってしまう事があります。
それが期外収縮です。
人間の体ですし、心臓も完璧ではないんですね。
ですから、多くの場合は、治療が必要な状態というわけではなく、まあ生きていればそういう事もあるかというレべルのものです。
健康な人でも 9 割以上に上室性期外収縮が起きていて,100 拍/日程度までは正常と考えてよいとされています(2020 年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン)
ここででてきた上室性期外収縮(じょうしつせい きがいしゅうしゅく)というのは、心室の上の部屋、つまり、心房で起こった期外収縮です。
ドミノが間違って倒れ始めたのが、心房だったという状態です。
心房はそこまで心臓の拍出に影響はしませんので、上室性期外収縮は心室性期外収縮よりさらに軽症です。
心室が収縮する時には、仕切り直しで、心室の先頭の心筋から順序良く収縮が始まります。
心室はパワフルでムキムキで心臓からの血液の拍出を最終的に担っているところですので、
心室で、期外収縮が起きる心室性期外収縮(しんしつせいきがいしゅうしゅく)は、上室性期外収縮より多少心臓の拍出に影響する事があります、
ただし、上室性と同じように、1発2発では問題になる事はないですね。
期外収縮は健康な人にも起きるという事から分かるように、期外収縮があっても心臓自体は元気であることが多いです。
カフェイン、アルコール、ストレスなどの生活習慣が誘因となって、増える事があります。
ドミノを立てる手が震えると、ドミノもミスで崩してしまう事が多くなりますよね。
ただし、心臓の病気のサインである事もあります。
心筋症や心臓を栄養する血管が細くなったりして心臓の筋肉自体にダメージがあったり、基質的な病気が背景になると、不整脈は起きやすくなるので、期外収縮も起きやすくなります。
期外収縮の症状
心臓が飛び跳ねる感じ、胸の中での強い鼓動などがあります。
ドクドクドクドドック と脈が迫ってくるように感じたり
ドクドクドクッドク と脈が一瞬止まったように感じたりします。
通常、症状は一瞬です。
症状を感じる人もいれば感じない人もいます。夜寝る時に、意識が脈に行ってしまい、症状が気になるという方もいます。
症状を頻繁に感じる方は、詳しい検査を行う方がいいでしょう。
期外収縮の診断
診断は心電図で行います。健康診断や他の病気で通院している時に取った心電図で偶然期外収縮が見つかる方は多いです。
さらに検査をするのであれば、まずはホルター心電図です
心電図1枚では脈を観察できる時間は非常に短いので、もっと長時間脈の記録を行うためにホルター心電図を装着して帰宅し24時間つけて調べる検査です。
これにより、1日のうちでどれぐらいの頻度で期外収縮がでているかが分かります。
これで、期外収縮の頻度が多かったり、いろいろな種類の期外収縮があったり、連発があるなど気になる所見があれば、心臓超音波検査を含む心臓の検査を行い、心臓の病気が隠れていないかは確認する方がいいでしょう。
期外収縮の治療
a. 上室性期外収縮
通常、上室期外収縮は治療の必要はありません。症状がどうしても気になり不快感が強い時に安全性とのバランスが吟味しながら考慮します。
まずは、上室期外収縮のリスクが小さいことや、カフェインやアルコール摂取などの
ライフスタイルの影響などの理解を促します。
そしてカフェインやアルコール摂取を制限する事を勧めます。
それでも治療が必要なら、β遮断薬を使用する事もあります。
後は不安が強い場合は不安を落ちつけるような精神安定剤も使う事もあります。
b. 心室性期外収縮
こちらも、基本的には治療が必要にならない事が多いですし、介入をするにしても、生活習慣の改善や軽い精神安定剤のみで経過をみることが多いです。
しかし、前に述べているように、心室は循環への影響が大きいので、上室性期外収縮よりもリスクを検証したり、治療する場合はあります。
例えば、以下のような場合は心筋症などの心臓の病気が隠れている事もありますので、さらに詳しい心臓の検査を行い必要があれば専門的な治療を行います。
- 3連発以上連発する
- 総心拍数の10%以上の頻度がある
上室性期外収縮と心房細動の違い
患者さんに聞かれた事です。実際見分けるのが難しい場合があります。
上室性期外収縮はほぼ治療の必要がない病気ですが、
心房細動は血栓を心臓に作り脳梗塞を作ってしまう怖い病気です。
どちらも心房で起こる不整脈です。
上室性の期外収縮は一般的に持続せず短時間で終わりますが、頻度が多くなると、脈がずっとバラバラで、心房細動のように見える時があります。
こうなると見分けるのはなかなか難しく、我々は正常の心房の収縮のサインであるP波があるかないかを見ていきます。
P波があって、正常の調律がベースにありそれに期外収縮入り込んでいる状態であれば一安心です。
一方、心房細動の心電図は以下のようにP波がありません(市立伊丹病院HPより)
ただし、100 拍 / 日以上の上室性期外収縮は将来的に心房細動が発症するサインであり、
上室期外収縮 1,000拍/日以上あった方には 40% に将来心房細動が発見されているので、注意は必要です。(2020 年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン)
Youtubeでも解説しています。
ぜひ、こちらも参考にしてくださいね。
まとめ
- 期外収縮は不整脈の一種で、心臓の正常なリズムから外れた1回の早い(もしくは遅い)鼓動です。
- 期外収縮は多くの場合、重大な問題ではないので心配いりません。
- 心房で起きる上室性期外収縮と心室で起きる心室性期外収縮があり、上室性期外収縮の方がより軽症。
- まずは、カフェイン、アルコール、ストレスを避けるなど生活の工夫で対処する。
- 症状が頻繁で気になるときには、ホルター心電図を行い、必要があれば更に検査し薬をもらう
- 症状や治療について気になる場合は、医師と相談してください
今日もあなたらしい1日でありますように☆彡