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元々の私の経歴は医師としてのいわゆる出世コースだったかもしれません。そのキャリアを捨てること、会社を設立して何の後ろ盾もなく独立して生きていく事は、とても不安なことでした。

でも、私が信じる最も価値のある社会貢献をするという決意のもと、大きな決断をしました。

その私の物語を少しだけお話させてください。

2011年の熊本大学の医学部を卒業し医師となってから、医師としての能力を高めることにがむしゃらでした。

初期研修医の2年間は過酷な環境として有名であった茅ヶ崎徳洲会病院(現湘南藤沢徳洲会病院)で過ごしました。

絶え間なく救急患者さんが受診され、初期対応から入院後の診療まで担当しました。目の前の患者さんを救うために寝る間も惜しんで勉強する日々でした。空腹さえ忘れて気がついたら24時間何も食べてもない飲んでいないという日もありました。月に3回しか家に帰らない月もありました。病院に行かなかったのは年に数日でした。私の知識不足は直接患者さんの不利益になる環境でしたので、当直明けの休みの日にも喫茶店に重たい医学書を持ち込んで勉強をすることが日課でした。

初期研修の後に、循環器内科を専門に選んだのは、瀕死の方でも救える力があるからでした。不整脈がでて青ざめた表情となり心臓マッサージをされながら運ばれてくる方でも電気ショックで元に戻すことができます。全身に脂汗をかきながら顔をしわしわにしながら胸痛に苦しむ方もカテーテル治療することで死から救命できます。治療によってその人らしいさを失うことなく元気に生活してもらうことができます。これは私の医師冥利に尽きる事でした。

循環器内科医として能力を磨くために、一流の環境に身を置いてきました。

国立循環器病研究センターで3年間の後期研修を行い、循環器領域の診療を網羅的に経験しています。国立循環器病研究センターは世界でも珍しい循環器病に特化したナショナルセンターで、循環器内科がさらに6つの分野に細分化され、それぞれで世界で最先端の医療が提供されています。最新の医療を学び、循環器領域の地平線が見える。そんな研修でした。

その地平線を超えさらに医療の質を高める努力もしてきました。

大学病院等で臨床研究を積極的に行い、今まで14本の英語論文を筆頭著者として執筆し研究結果は3つの診療ガイドラインに引用されています。診療のスタンダードであるガイドラインをアップデートすることに僅からながら貢献できたことで循環器診療を前進させることができました。

さらに、運動生理学・特殊環境生理学の研究のためのオーストリア・インスブルック大学へ留学をしています。心機能やトレーニングの重力の影響など、研究を通して、人体の基礎的な知見を深めました。

診療と研究に打ち込み医師として走り抜けてきた12年。ずっと気になっていることがあったんです。

それは、病院内での医療の限界です。

病院に来た患者さんを最新の知識と技術で助ける、そんな循環器内科医を目指してきた私でしたが、救えない方も多くいました。

病院に着いた時には、もうすでに手の施しようがない方。

病気が発症するのは病院の外です。病気が発症する前に食い止めることができれば、病気が発症してからもっと病院に早く来てくれていれば。時間を戻せるものなら打つ手はあったのに、今はもう打つ手は・・・ない。

病院の外で不安を感じる方。

心臓病の方の多くは弱くなった心臓が、自分の生活に耐えられるかという心配を抱えています。家の近くのいつもの坂道や階段は今の自分の体には負担かもしれない、お孫さんと遊んで負担をかけすぎて具合を悪くすれば、また子供に迷惑をかけるかもしれない。病院の中にいる私には病院の外での患者さんの環境や様子については話は聞けても正確に想像することはできません。病院外について行けあげれれば、そんなことは病院で勤務している私にはできません。

病気を治療することによってその人らしいさを失うことなく元気に生活してもらう事を目指して研鑽を積んできましたが、実際には病院内でいくら循環器内科医として全力をつくしても、その人らしさを守ることができないことが少なくありません。

この問題を解決するために、私は厚生労働省に入職しました。

医系技官として循環器内科領域の政策を担当し、医療の体制や仕組みから変える事で解決できることもあるのではないかと考えたからです。

第2期循環器病基本計画を作成し循環器病対策の方向性を決め、それに沿った様々な政策案を出しました。循環器病対策専門官として、病院外の医療の強化のため、できる限りのことを考え、最良の行動を続けたつもりです。在宅診療でカテコラミンを使用しやすくしたり、患者相談の機能も担う総合支援センタ―の環境を整えるなどの成果を上げることはできました。

ただし、私が最も行いたかった、心臓リハビリを広めることについては不十分なまま終わってしまったと感じています。

心臓リハビリは患者さんの体力や心機能に合わせて運動強度を脈拍等で設定して運動の習慣を含めた生活習慣を改善させることで、病気の発症や再発を防ぐ治療です。この治療は病院外で病気を予防することや病院外での患者さんの不安の軽減にもつながります。でも、現在日本で心臓リハビリを外来で受けられている心不全の患者さんは7%しかいません。これは循環器内科領域の大きな伸びしろです。

医療費は有限であり、国の仕組みの制約も多く、国でできることが限られていました。保険診療の地平線を感じることになりました。

厚生労働省の任期が終わってから、国立循環器病研究センターで勤務をしていける事にもなっていました。私のように循環器病対策専門官として過去に厚生労働省で勤務した循環器内科医は皆、若くして大学病院の准教授になっていました。

いわゆる医師としての出世コースだったかもしれません。

でも、私はその道を経ち、自身の考える最善の社会貢献の道を選びました。

それが株式会社Doctockです。病院でも国でもできなかったサポートを実現するために活動しています。保険診療の地平線を超えて、心臓病の発症や再発予防、患者さんの不安を払拭を病院外で行います。

その事で一人でも多くの人が、健やかでその人らしい時間を過ごせる社会の創造に貢献します。

代表取締役社長 丸目 恭平

代表取締役経歴

1986年2月13日 生まれ 熊本県出身

2004年熊本県立熊本高校卒業
2011年熊本大学医学部医学科卒業
(内1年間イギリスリーズ大学に交換留学)
2011年
-2013年
茅ヶ崎徳洲会病院にて初期研修
2014年
-2017年
国立循環器病研究センター心臓血管内科 
レジデント
2018年熊本大学大学院医学教育部博士課程修了
2019年
-2022年
オーストリア インスブルック大学  
ポストドクトラルフェロー
2022年
-2024年
厚生労働省 健康・生活衛生局 
がん・疾病対策課 課長補佐・循環器病対専門官
(医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室併任)
2024年
4月-
株式会社Doctock代表取締役
国立循環器病研究センター心臓血管内科非常勤医師

会社概要

会社名株式会社Doctock
所在地〒1070062 東京都港区南青山3丁目1番36号青山丸竹ビル6F
資本金200万円
設立2024年4月
役員2人
事業内容ヘルスケア
アプリ開発販売事業
医学講座事業

会社沿革

2024年4月東京都港区にて株式会社Doctock設立
2024年5月最初のプロジェクトとして東京都ハートフィット事業を開始