一人の医師の葛藤
「血圧のために、塩分を控えてください」
循環器専門医として、私はこれまで幾度となくこの言葉を口にしてきました。
しかし、そのたびに患者様の寂しそうな表情が胸を締め付けました。
「先生、食べる楽しみがなくなってしまったよ」
日本人は元々1日にとる塩分量が多い人種です。世界保健機構(WHO)が定める目標の塩分量は女性が6.5g/日未満、男性が7.5/日未満ですが、日本人の平均の塩分摂取量は女性が9.0g/日、男性が10.5g/日と大きく上回っています。
日本人の大半は減塩の必要がありますが、特に約4,300万人もの高血圧患者さん、約1500万人もの腎臓病患者さん、300万人もの心臓病患者さんは食事療法の一環で塩分量を6.0g/日未満に抑える必要があります。
「病気を良くしたい。これ以上悪くならないで欲しい。」
その思いで担当する患者さんに減塩の指導を行ってきました。
しかし、健康を守るための指導が、人生の大きな喜びである「食」を奪ってしまっているのではないか。
減塩をしながらも、食の楽しみを決して失ってほしくない。その切実な願いが、このプロジェクトの原点です。
九州出身の私は、昔から大の柚子胡椒好き。和食なら何にでも柚子胡椒を添えて食べるのが習慣でした。ある日のこと、いつものように食事に柚子胡椒を使っていた私に、妻がこう言ったのです。
「あなた、本当になんでも柚子胡椒を入れて食べるわね」
その時、一人の医師として、そして一人の柚子胡椒ファンとして、稲妻のようなひらめきが走りました。
「もし、柚子胡椒を無塩で作ることができたら? 醤油や味噌などの調味料を減らしても、この香りと刺激があれば、日本食を驚くほど美味しく食べられるのではないか」
同時に私の脳裏に蘇ったのは、2年間のヨーロッパに留学中に目にしていた本場の地中海食でした。世界的な健康食と言えば「地中海食」。美味しいのに塩分もすくないのです。イタリアやフランスで出会った地中海食は、ニンニクや胡椒などのスパイス、ビネガーをふんだんに使い、塩が少なくても食材の旨味を最大限に引き出しているものばかりでした。地中海のように塩分に頼らない美味しさを、日本の柚子胡椒で再現する。それは、日本人の減塩生活を劇的に変える可能性を秘めてていると確認した瞬間でした。
しかし、柚子胡椒の常識には「20%の壁」が立ちはだかります。通常、柚子胡椒を作る際には、保存性を高めるためと素材を混ぜ合わせるために重さの約20%の「塩」が必要なのです。それをゼロにする。それは日本の伝統調味料において、誰も成し遂げたことのない無謀な挑戦の始まりでした。

パートナーとして白羽の矢を立てたのは、神話の里・宮崎県高千穂で、一ヶ月で完売する伝説の柚子胡椒を世に送り出す「匠」でした。医師が持つ医学の知見と、匠が長年培ってきた手仕事の直感。その二つが混ざり合った時、不可能と言われた「無塩」の扉が開きました。
国立循環器病研究センター認定ベンチャーとして歩む医師の執念と、自然とともに生きる匠の感性。どちらが欠けても、この一瓶に命が宿ることはありませんでした。
「本当に塩が入っていないんですか?」
試食した方々からは、驚きの声が相次ぎました。
人間が「美味しい」と感じるメカニズムには、味覚(舌)だけでなく、嗅覚(鼻)や感覚(刺激)が複雑に関係しています。奇跡の柚子胡椒ゼロソルトでは以下のような生理的メカニズムにより、美味しくストレスなく減塩料理を楽しむことができると考えられます。
・辛みが味の「物足りなさ」を補う
唐辛子(カプサイシン)の刺激は、舌の味蕾ではなく神経に作用します。この適度な刺激が脳に強い信号を送ることで、塩味のアタックを物理的刺激で代替します。また、カプサイシンにより検知閾値が低下し、より薄い塩味を感じ取れるようになることが示されています。
・香りによる塩味増強効果
ユズ特有の複雑な香気(ユズノン等)が、脳内で塩味情報の欠落を補完し、風味の豊かさを演出することで、塩味がなくても脳は満足感を創り出します。
・神経精神的なストレス緩和
ユズ精油の吸入が自律神経系に作用し、副交感神経を優位にすることで、減塩に伴うストレスと塩分への渇望を生理学的に抑制します。
この柚子胡椒は、厚生労働省「健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ」にも参画しています。
私たちの挑戦は、まだ始まったばかりです。
Phase 1:市場検証と実績作り(2026年度)
Phase 2:本格展開と販路拡大(2027年度)
Phase 3:付加価値の最大化(ブランド確立)
Phase 4:グローバル展開と地域還元の実現

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