はじめに
心筋梗塞は、我々が日常生活で耳にすることが多い病気の一つです。しかし、実際にその症状や原因を詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。特に、女性の場合、症状が男性とは異なることがあるため、正確な知識が必要です。
この記事では、心筋梗塞の基本的な知識から、女性特有の症状、対処法までを詳しく解説します。
心筋梗塞とは?
心筋梗塞とは、心臓の筋肉に酸素や栄養を供給する冠動脈が急激に詰まり、その部分の心筋が死ぬ病気を指します。主な原因は、動脈硬化によって冠動脈が狭窄したり、血栓ができてしまうことです。発症すると、心臓のポンプ機能が低下し、最悪の場合、命に関わる事態にもつながります。
心筋梗塞の簡単なイメージを理解するために以下の記事も参照してください。
心筋梗塞の発症率の男女差
女性は男性よりも心筋梗塞になるリスクは少ないという印象があるかもしれませんが、実はそれは若いうちだけです。
年を重ねると、男性の発症率に追いつきていきます。特に女性は閉経後に心筋梗塞の発症率が上がる事が知られています。
以下の図は循環器領域における性差医療に関するガイドライン(2010)からの転用です。
心筋梗塞を含む虚血性心疾患になった事がある人の割合をそれぞれの年代で男女別に棒グラフとして示してあります。
50代までは明らかに男女の差がありますが、60歳以降では男女の差は少なくなることが分かります。
どのような症状が出るのか
心筋梗塞の症状は様々ですが、代表的なものは以下のような症状です。
- 胸の痛みや圧迫感:これは最も一般的な症状で、胸の中央に鈍痛や圧迫感が生じることが多いです。基本的には急激に症状が出現し、5分前まで元気だったがもだえるように苦しむという事が起こります。
- 腕や顎への痛みの放散:胸の痛みが左腕や顎に放散することもあります。
- 吐き気や冷や汗:痛みや心筋梗塞自体が自律神経を刺激することにより、吐き気や冷や汗が生じる事があります。
女性に心筋梗塞の症状の特徴
男性と比較して、女性の心筋梗塞の症状は感じにくいことが知られています。具体的には、以下のような特徴があります。
- 胸の痛みが少ない:男性のような強い胸の痛みが感じにくく、軽度のものや全く感じないことも。
- 非特異的な症状:背痛や腹痛、吐き気など、心筋梗塞とは思えないような症状が現れることがあります。私は左手の痛みを主訴に徒歩で受診された患者さんが心筋梗塞だったという事を経験したことがあります。
以下の図は循環器領域における性差医療に関するガイドライン(2010)からの転用ですが、女性では狭心症でいろいろなところで痛みが出現する事が分かります
症状はわかりにくいかもしれませんが、以下のような場合は心筋梗塞を含め危ない病気であることがありますので、注意が必要だと思います。
- 今まで感じたことがない痛み
- 急激に発症した症状
- 分単位で徐々に症状が増悪する
- 随伴する症状が複数ある
心筋梗塞が疑われる場合の対応法
もし心筋梗塞の症状が疑われる場合はすぐに救急車を呼ぶことをお勧めします。
「時は金なり」ならぬ、「時は心筋なり」という言葉が我々の世界にはあります。
心臓の結果が詰まって心筋梗塞になりまじめると、心筋は死に初めて、最初の数時間のうちに生きた心筋は急激減り始めます。
心筋のダメージにより不整脈や心臓が破れたりして突然死に至る事もある怖い病気です。
救急車を呼ぶべき危ない胸痛の特徴についてをこちらにまとめていますので、参考にして下さい。
まとめ
心筋梗塞は、突然の発症が命を脅かすことがある病気です。特に女性は、一般的な症状が感じにくいため、日常生活での変化や異常を敏感に感じ取ることが大切です。心筋梗塞の症状が疑われる場合は、迅速な対応が命を救いますので、適切な行動を取ることが重要です。