ずぼら運動学

週末だけの運動でも心臓病は予防できる!

皆さんは1週間でどれくらいの運動を行なっていますか?

WHOのガイドラインでは中強度の運動を週150分以上実施することが勧められています。また、心臓病の方に対しても、心臓リハビリテーションのガイドラインで、中強度の運動を週5日以上、1回あたり30〜60分が推奨されています。

しかし、毎日のように運動時間を確保することはなかなか難しいですよね。厚生労働省の国民健康・栄養調査(2019年)の結果でも、65歳以上の方で、週5日以上運動している方は、およそ4人に1人だけであり、若い人になるとさらにその割合は低下します。

運動を習慣的に行うことが難しくても、週末(休日)に集中して運動を行うことで心臓病を予防できる、という報告が発表されています。今回はその報告についてまとめてみます。

週1~2日の集中的な運動も心臓病予防効果あり

Khurshidらは2013年6月から2015年12月の間、活動量計で日々の運動量を測定できたイギリス人を対象に、6年間追跡した結果を報告しています。

約9万人のデータを対象に、週150分以上の中強度の活動を行っている方とそうでない方を比較しています。また運動習慣がある人は、習慣的に運動を行なっている人(全体の24.0%)と、週末(週1〜2日)だけ運動をしている人(全体の42.2%)に分けて比較しています。

その結果は下の表のようになりました。下の表は運動習慣がない人と比較して、週末のみ運動している人と習慣的に運動している人が、心臓病を発症する確率を示しています。

この結果からすると、毎日運動をしている人も、週に1〜2日だけ集中的に運動をしている人も、同じくらい心臓病になりにくい、ということになります。

また、O’Donovanらは、40歳以上のイギリス人とスコットランド人(約6万4000人、平均59歳)を対象に、日々の活動量を調査した結果を報告しています。対象者は“習慣的に運動をしている人”、“週末のみ運動をしている人”、“運動はしているが強度・時間が不足している人”、“全く運動をしていない人”の4つのグループに分けて比較しています。

その結果、下の表のように“全く運動をしていない人”と比較すると、推奨されている運動強度(中強度以上、週150分/週以上)を満たしていなくても、少しでも運動をすることで心臓病で死亡する確率を減らすことができる、としています。

運動を少しでもすることで心臓病の予防効果がある、というのは運動習慣がない人にとっては非常に嬉しい結果ですね。ただ、体力がある人の方が心臓病で死亡する可能性が低いことは他の報告で明らかになっていますので、運動強度や時間をしっかりと確保して体力の向上に努めることは非常に重要です。少しずつ運動を習慣づけられるように頑張りましょう!

以上の2つの報告をまとめると、毎日運動時間を確保することが難しくても、週末などのまとまった時間を取れる時に、中強度の運動を週150分以上しっかりと行うことで心臓病を予防することができる、ということになります。

注意すべき点

これらの報告はいずれも中強度以上の運動を、週150分以上”行なっている人は心臓病で死亡する可能性を下げる効果があった、としています。つまり、運動時間が少なかったり、強度が不足しているとこのような結果にならなかった可能性があります。

中強度の運動の決め方については、こちらも参考にしてください。

また、週末のみにまとめて長時間の運動を行うと、普段から運動に慣れていない方は怪我をしてしまう可能性が高くなってしまいますし、心臓へ負担がかかりすぎて、かえって心臓病を悪化させてしまう可能性が考えられます。

運動のやりすぎと心臓病の関係については、こちらを参考にしてください。

運動に慣れていない方や体力に自信がない方は、強度を意識した上で、短時間の運動を毎日少しずつ行なっていくことをオススメします

まとめ

  • 毎日運動を行うことが難しくても、週末に運動時間を十分確保することで心臓病になる可能性を下げることができます。
  • ただし、運動に慣れていない方や体力に自信がない方は、毎日短時間の運動を繰り返し行うことをオススメします。
  • どのような運動を、どれくらい行うといいのか、は心臓リハビリを十分に経験している医師や理学療法士に相談してみましょう。

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