再発予防・健康維持のための生活習慣の知識

座って過ごす時間を軽い運動に変えるだけで心臓病予防!

皆さんは普段、どれくらいの時間を座って過ごしていますか?

テレビを見る時間や本を読む時間、パソコンで作業をする時間など、日常生活の中で座って過ごす時間は多いのではないでしょうか。

以前に座位時間と心臓病の関係についてまとめました。

最近、最新の論文が報告されたので、そちらについてまとめます。

座りっぱなしで心臓病のリスクは30%も増える!?

この研究(Onagbiye,2024)は、27論文の結果をまとめて解析したものになります。

いずれも健康な成人を対象として、座っている時間を測定(自己申告、もしくは身体活動を計測する機器を使用)し、その後心臓病になったかどうか、を調査しています。

それぞれの論文での対象となった人数(中央値)は22,257人、年齢(中央値)は58.6歳、男性が44.3%、追跡期間(中央値)は7.1年となっています。

その結果、長時間座っている人はそうでない人を比べると、心臓病(心血管疾患)になる可能性は29%高くなることがわかりました(下図左)。

また、脳卒中になる可能性は15%、冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症など)に至っては47%も危険性が高くなります。

また、この研究では座っている時間が1時間増えるごとに心臓病になる危険性が5%増加し、座っている時間が長ければ長いほどさらに危険性が増していく(下図右)、と報告しています。

Onagbiye,2024より引用改変

テレビを見たり、本を読んだりしていると1時間なんてあっという間に過ぎてしまいますよね。普段からパソコンを使って仕事をしているとなおさらです。

そして、この論文では、座っている時間と同じ時間を軽い強度の運動に置き換えるだけで、心臓病になる危険性を16%下げることができるとも報告しています。

ずっと座りっぱなしで過ごすのではなく、途中で立ち上がって軽い運動をするだけでも効果がある、ということになります。これなら少し運動へのハードルが下がるのではないでしょうか。

どれくらいの運動をすると、座りっぱなしの悪影響を無くせる?

座っている時間が長ければ長いほど、心臓病をはじめとする様々な病気になる危険性が高くなりますが、例えば仕事でパソコンを使っている場合など、避けられない座位時間があることも間違いないと思います。

LFM Rezendeらは、加速度計を用いて活動量を測定し、座位時間とあらゆる理由での死亡率の関係を調査しています。

座位時間は全死亡率の上昇と関連していました。座位時間が短い場合 (≤ 10.1 時間/日) と比較すると、全死亡率のリスクは、座位時間が中程度の群 (10.2 ~ 11.3 時間/日) では 1.06倍 (95% CI 0.91 ~ 1.23)、座位時間が最も長い群 (≥ 11.4 時間/日) では 1.28倍 (95% CI 1.08 ~ 1.51) になりました。

その、座位時間の死亡率への悪影響を打ち消すために1日にどれぐらいの運動をすればよいかという観点で解析がンされている点が興味深いです。

その結果、座りっぱなしの悪影響を打ち消すには、1日あたり、高強度の運動であれば6分、中等度〜高強度の運動であれば30分、中等度の運動であれば64分、低強度の運動であれば163分行う必要がある、としています。

運動強度の決め方はこちらを参考にしてください。

これだけの時間、まとまった運動をするのが大変だと感じられるのであれば、こまめに立ち上がった体を動かす時間を作ることが非常に重要ですね。

まとめ

座りっぱなしは心臓病だけでなく、様々な病気の危険性を高める行動です。

こまめに体を動かす時間を作ることで予防効果があります。

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