10年後の脳卒中のリスク計算フォーム(JPHC Study)
🧠 リスク評価の詳細(10年後の脳卒中リスク)
年齢
40~44歳:0点
45~49歳:5点
50~54歳:6点
55~59歳:12点
60~64歳:16点
65~69歳:19点
性別
男性:6点
女性:0点
喫煙
男性:4点
女性:8点
BMI(Body Mass Index)
<25:0点
25~<30:2点
30以上:3点
糖尿病(Diabetes mellitus)
あり:7点
なし:0点
血圧(mmHg)
収縮期血圧(SBP)を優先し、降圧薬の使用有無によって点数が異なります。
降圧薬を使用していない場合:
収縮期血圧 (mmHg) | 点数 |
---|---|
<120 | 0点 |
120–129 | 3点 |
130–139 | 6点 |
140–159 | 8点 |
160–179 | 11点 |
≥180 | 13点 |
降圧薬を使用している場合:
収縮期血圧 (mmHg) | 点数 |
---|---|
<140 | 10点 |
140–159 | 11点 |
160–179 | 11点 |
≥180 | 15点 |
📊 合計スコアに応じた10年後の脳卒中リスク
合計スコア | 予測リスク(10年間) |
---|---|
≤10 | <1% |
11–17 | 1〜<2% |
18–22 | 2〜<3% |
23–25 | 3〜<4% |
26–27 | 4〜<5% |
28–29 | 5〜<6% |
30 | 6〜<7% |
31–32 | 7〜<8% |
33 | 8〜<9% |
34 | 9〜<10% |
35–36 | 10〜<12% |
37–39 | 12〜<15% |
40–42 | 15〜<20% |
43以上 | 20%以上 |
※本フォームでは血管年齢の表示は除外しています。評価項目の補足
血圧の数値は、フォームの簡略化のため収縮期血圧の値のみを採用しています。元論文では拡張期血圧についても考慮に含めています。
リスク評価フォームの基になった論文について
日本公衆衛生センター研究(JPHC研究)とは?
JPHC研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study)は、
1990年代から日本全国で行われてきた、国民の生活習慣と病気の関係を明らかにすることを目的とした大規模な疫学研究です。
この研究では、がんや心臓病、脳卒中、糖尿病といった生活習慣病を中心に、
多くの日本人を長期間にわたって追跡調査しています。吹田研究(Suita Study)とは?
本研究の概要
この脳卒中リスクスコアは、JPHC研究のコホートII(1993〜1994年に開始)に参加した、
40〜69歳の男女約15,672人を対象として開発されました。
約14年間の追跡期間中に、脳卒中を発症したのは790人。
そのデータをもとに、以下の項目からリスクを点数化し、
10年以内に脳卒中を発症する確率を予測できるモデルが作られました。
- 年齢
- 性別
- 現在喫煙しているか
- BMI(体格指数)
- 血圧(収縮期血圧を優先)
- 降圧薬の使用の有無
- 糖尿病の有無
これらの情報は、健康診断や問診で日常的に取得できるため、
地域の保健活動や個人の健康管理にも応用しやすい設計となっています。
信頼性
この研究は以下の点から、一定の信頼性があると評価されています。
- 対象者が全国複数地域から選ばれた日本人の一般住民である
- 約1.5万人を平均14年間追跡した長期調査に基づいている
- 統計解析には、医学研究で標準的に用いられるCox回帰分析を使用
- スコアの予測精度はC統計量(AUC)0.73とされ、比較的高い識別力がある
- 論文は、**国際的に評価の高い医学雑誌「Stroke」**に掲載されている
論文情報
- 論文タイトル:
Development of a point-based prediction model for the incidence of total stroke: Japan Public Health Center Study - 著者:Yatsuya H, Iso H, Yamagishi K, et al.
- 雑誌:Stroke(アメリカ心臓協会発行)
- 発行年:2013年
- 巻号:44巻5号, 1295–1302ページ
- DOI:10.1161/STROKEAHA.111.677534