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はじめに
こんにちは、循環器専門医のまるです。
今回は「BNPが治療である程度は下がったけれど、900〜1000くらいで止まってしまう。このままで大丈夫なの?」という視聴者の方からの質問にお答えします。
今この記事を読んでいるあなたも、BNPが完全に下がりきらないことに不安や「何か爆弾を抱えているような気持ち」を感じていませんか?
そんな不安を少しでも和らげられるように、分かりやすく解説していきます。
この記事のポイント
- BNPとは何か、なぜ高いと心配なのか
- BNPを「下げるため」に治療はするのか
- 薬以外でBNPを下げるために自分でできること
1. BNPとは何か、なぜ高いと良くないのか
BNPは血液検査で測定する心臓の負担を示す値です。
心臓の中の圧力が高くなると、心筋からBNPが分泌されます。
つまり「心臓に負荷がかかっている」サインです。
BNPが高いほど心不全の悪化リスクや死亡リスクが高くなることがわかっています。
例えば、アメリカの大学病院で行われた大規模研究では、BNPが高いほど3年間の死亡率が高いという結果が示されています。
- BNPが数百〜1000程度でも、死亡リスクは高めのグループに入る
- ただし、このデータはアメリカ人対象なので、そのまま全て当てはまるわけではない
- それでも「BNPが高い=心臓に負担がかかっているサイン」という認識は大切
BNPが高いと「何か悪いことが起こりそう」と不安になりますが、これは心臓からの「負担がかかってますよ」というSOSサインです。
2. BNPを下げるために治療をするのか
ここで大事なポイントです。
「BNPの数字を下げるために」治療はしません。
BNPそのものが毒なわけではなく、心臓の負担を軽くしようと体が分泌するホルモンです。
- 血管を広げて血圧を下げ、心臓を楽にする
- 尿を増やして血液量を減らし、心臓の負担を減らす
つまり、BNPが「心臓を悪くしている」のではなく、「心臓が悪いからBNPが高い」状態です。
だから治療の目標は「BNPを下げること」ではなく、「心臓の負担を減らすこと」「症状を改善すること」です。
BNPを無理に下げようとする治療のリスク
例えば、BNPを下げたいからと薬を増やしすぎると副作用が出ます。
- 血管を広げる薬(降圧剤)を増やしすぎると → 血圧が下がりすぎてふらつきや失神、他の臓器への血流不足
- 利尿剤を増やしすぎると → 血圧低下、腎臓に負担、他の臓器への血流低下
BNPを下げる「ためだけ」に薬を増やすと、かえって体に負担をかけてしまうことがあります。
だからこそ「症状を改善しつつ、結果としてBNPが下がる」という形を目指します。
3. 薬以外でBNPを下げる方法
では、薬以外でBNPを下げる方法はあるのでしょうか。
あります。今日お伝えするポイントは2つです。
① 塩分制限
「塩分を減らすとBNPが下がる」という研究もあります。
例えば、ある研究では
- 1日の塩分を5.75gから1.61gに減らしたところ、BNPが40%減少
日本人の平均塩分摂取量は10g以上なので、1.61gまで減らすのは現実的ではありません。
それでも、少しでも減塩することでBNPを下げる可能性があります。
✅ 食事が濃い味付けになっていませんか?
✅ しょうゆ、味噌、塩の使いすぎに注意しましょう。
② 適切な有酸素運動
定期的な有酸素運動もBNPを下げる効果があります。
- 定期的な有酸素運動 → BNPを約34%減少という報告も
ただし、注意点もあります。
- 強すぎる運動 → 逆に心臓に負担をかける
- BNPがどんどん上がっている時、息切れが強い時 → 心不全が悪化している可能性
無理な運動は逆効果です。
強すぎず、弱すぎない「中強度の運動」がポイントです。
4. 心臓に負担をかけない運動を学ぶには
「中強度の運動ってどんな運動?」
「自分に合った強度が分からない」という方も多いでしょう。
私たち循環器専門医は、心臓病の患者さんに「弱すぎず強すぎない、ちょうどいい運動」を指導します。
ただ、病院では保険診療の制約もあり、系統的に教える時間が限られています。
そのため、これまでの経験をもとに「循環器部アカデミー」として講座を作りました。
- 心臓に負担をかけすぎない運動のやり方を解説
- 医師が教える、安心して続けられる中強度運動のノウハウ
私自身も中強度運動を実践し、LDLコレステロールを改善した経験があります。
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まとめ
BNPが高いのは心臓の負担を示すサインです。
BNP自体を下げる「ため」に薬を増やすのは、副作用のリスクを伴います。
大事なのは、症状を改善して心臓を守ること。
あなた自身ができることもあります。
- 減塩
- 中強度の有酸素運動
今日も健康で、あなたらしい一日をお過ごしください。