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はじめに
こんにちは、循環器専門医のまるです。
この記事では「心電図やレントゲンはきれいなのに、BNPだけが高い。これって安心していいの?心配するべき?」というよくある質問にお答えします。
診療の現場でも、こうしたケースはとても多いです。心電図やレントゲンがきれいだと安心しますが、BNPが高いとやはり心配になりますよね。
今回はその「読み解き方」を、できるだけ専門用語を減らしてわかりやすく解説していきます。
この記事のポイント
- 心電図・レントゲンがきれい=心臓も大丈夫、とは限らない理由
- レントゲンや心電図の「限界」を例え話で解説
- BNPという血液検査の役割
- BNPが高いときに実際に行う精密検査
- BNPを上げないためにできる生活習慣の改善
1. 心電図・レントゲンがきれいなら心臓は大丈夫?
結論から言うと「完全に大丈夫とは言えません」。
なぜなら心電図やレントゲンにはそれぞれ「限界」があるからです。
レントゲンで分かること、分からないこと
レントゲンは胸をX線で撮影し、白黒の影として心臓や肺、骨などを映します。心臓が大きくなっている、肺に水が溜まっているなどの「大きな異常」は分かります。
ですが、心筋梗塞や不整脈、心臓の弁の細かい異常、心筋の厚みの変化などは分かりません。
例えるなら「人の影を見て誰が泥棒か当てるようなもの」。影では大きさや形のアウトラインは分かりますが、顔つきや服装、怪しさは分からないのです。
実際に心不全患者さんでも、約20%の人はレントゲンで異常が見つからないと報告されています。
心電図の仕組みと限界
心電図は心臓の電気信号を記録する検査です。
不整脈や心筋梗塞などの「発作が起きている瞬間」を捉えられれば異常を発見できます。
しかし心電図1枚は約3秒分の記録しかありません。24時間のうちのたった3秒を切り取ったものです。
例えば泥棒をしている「瞬間」を見れば分かるけれど、それ以外は普通の人に見えるのと同じです。
発作が起きていなければ心電図は正常に見えるのです。
2. BNPとは何か?なぜ大事なのか
BNPは血液検査で測る心臓の負担を示す指標です。
心臓の中の圧力が高いほどBNPの値は上がります。
例えるなら「悪徳度数を測る眼鏡」のようなものです。
心電図やレントゲンが正常でもBNPが高ければ、心臓に負担がかかっているサインを見逃さない、という大きなメリットがあります。
3. BNPが高いときに行う検査
BNPが高いからといって、必ずしも心臓だけが原因とは限りません。
腎臓病や高齢による変化などでもBNPは上がることがあります。
医療現場では、BNPが高い場合に「本当に心臓が原因か」を調べるために心臓超音波検査(心エコー)などを行います。
心エコーでは超音波で心臓の内部構造を詳細に観察できます。
弁の動きや心筋の厚さ、心臓の動き具合などをリアルタイムで確認できます。
これによって「BNPが高い原因」を詳しく調べ、適切な治療につなげます。
4. BNPを上げないためにできる生活習慣
BNPを下げるには、心臓に負担をかけない生活が大切です。
以下は心不全患者さんが悪化する原因として多かった項目です。
- 水分・塩分制限が不十分
- 感染症
- 内服薬の飲み忘れ
- 過労
あなたにできる対策
- 塩分の取りすぎを控える
- 手洗いや換気をして感染症を予防する
- 薬をきちんと飲む
- 過労を避ける
ただし「過労はNG」でも「適切な運動はOK」です。
心不全患者さんの研究でも、有酸素運動を定期的に行うとBNPの値が約34%下がると報告されています。
一方で、有酸素運動と筋トレを同時に行った場合はBNPの値にあまり変化がなかったとも示されています。
つまり「筋トレよりも有酸素運動」がBNPを下げるには有効かもしれません。
5. 心臓に優しい運動を学ぶには
「心臓に負担をかけすぎずに運動する方法がわからない」という方も多いでしょう。
私たち循環器内科医は、心臓病の患者さんに「弱すぎず強すぎない、ちょうどいい運動」を指導しています。
病院の心臓リハビリテーションでも行いますが、保険診療では時間が限られ、系統的に教え切れないのが実情です。
そのため、私のこれまでの経験をオンライン講座にまとめました。
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まとめ
心電図やレントゲンがきれいでも安心しきるのは禁物です。
どちらの検査にも「限界」があり、BNPが高いときは心臓の負担が隠れている可能性があります。
心臓に異常がないかをしっかり確認し、BNPを上げないために心臓に優しい生活を心がけましょう。
今日も健康で、あなたらしい一日をお過ごしください。