ずぼら運動学

有酸素運動vs筋トレ どっちが重要?

ウォーキングと筋トレだと、どちらを優先した方がいいですか?

いつも歩いているけど、筋トレは全然していません。歩いているから筋力はおちないでしょ?

理学療法士
アッキー

歩行などの有酸素運動と筋トレはどちらも大事です!

日々患者さんに運動指導を行なっていると、このような質問をよくされます。

結論としては、‘どちらも重要!’です。ただ、両方ともしっかりと行うのは、特に運動習慣が今までなかった人にとってはハードルが高いですよね。

今回は、なぜ有酸素運動だけでなく筋トレが必要なのかをまとめました。ちょっとした時間の筋トレでもいいので、ぜひ普段の生活に取り入れてみてください。

有酸素運動の直後は筋力が低下する!?

Markovらは、習慣的に運動をしている男性を対象に、有酸素運動を行った直後の筋力がどのように変化するのか、について複数の文献の結果をまとめたものを報告しています。

この報告における有酸素運動は、ランニングや自転車漕ぎの運動であり、ウォーキングは含まれていません。

結果として、有酸素運動の直後は下肢筋力の低下が確認されました。

そして、運動強度が上がれば上がるほど、運動時間が長ければ長い(30分以上)ほど、筋力はより低下していました。また、ランニングと自転車漕ぎの比較では、自転車漕ぎの方がより筋力低下を認めていました。ちなみにこの筋力低下は、筋肉の疲労だけでなく神経の要素も関与している、と述べられています。

この報告は健康な若い男性のみを対象としているため、心臓病の方や高齢者、女性にも同じ結果が出るとは限りません。また、ウォーキングはこの研究で行われている運動よりも低強度なので、筋力低下の程度は小さくなる可能性が考えられます。

ただし、ウォーキングは強い筋肉の収縮を伴うような運動ではないので、筋力が向上する、と言うことは少し考えにくいです。

運動習慣がある方の加齢による筋力変化

Marcellらは、運動(ランニング)習慣のある男女94名(平均年齢:男性58歳、女性57歳)の筋力の推移を約5年にわたって調査しています。筋力の変化を調べるため、この研究では有酸素運動のみを行っている人を対象にしており、筋トレを日常的に行っている人は除外されています。

男女とも開始時は1週間あたり約5日間のランニングを実施しており、5年後は週4.5日間のランニングを行なっていました。走行距離は男性が週50.9kmから43.3kmに、女性は週48.4kmから37.6kmにそれぞれ減少していました。また、膝を伸ばす筋力の最大値は1年あたり4−5%低下していました。そして、この研究では筋力低下と関係のあった項目は、年齢だけと言う結果になっています。

この研究では、運動強度は週何回、どれくらいの距離を走っているかしか調査していません。つまり、走る速さや時間、走った環境などは調査していないため、どれくらいの強度の運動だったか、は不明です。しかし、身体活動の強度を比較するMETsを考えても、歩くよりも強い強度の運動を行なっています。

それでも加齢とともに生じる筋力低下はランニングでは防ぐことはできない、と言う結論に至っています。

まとめ

心臓病の方に勧められている有酸素運動を行うだけでは、筋力は加齢とともにどんどん低下していく可能性があります。筋力をつけるためには、やはり筋トレは欠かせません

筋トレの効果を上げるための方法についても、いくつか記事がありますので、そちらも参考にしてください。効率よく筋力・体力をつけて、元気な日々を過ごせるようにしましょう!

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