再発予防・健康維持のための生活習慣の知識

朝食と心臓病の関係 〜規則正しい食事時間を〜

皆さんは朝食を毎日食べていますか?

厚生労働省が行なった国民健康・栄養調査の結果によると、朝食を食べない、もしくはお菓子や果物だけといった簡単なものだけで済ませている人は、およそ8人に1人(全体の12.1%)いるようです。特に仕事をしている年代ほど朝食を食べない人の割合が高く、20歳代から60歳代までは男性の方が多いことも報告されています。

ちなみに昼食を食べない人は25人に1人(4.0%)、夕食を食べない人は100人に1人(1.0%)という結果も報告されています。

心臓病の方にとって“食生活の改善”と言われると、減塩やコレステロールを減らす、間食を減らす、といった食事内容を改善することが想像されるのではないかと思います。

しかし、朝食を食べない、といった不規則な食生活も心臓病になる危険性を高めることが報告されています。今回は朝食と心臓病の関係についてまとめます。

食事内容だけでなく、しっかり3食食べることも重要ですので、ぜひご自身の食事を今一度見直してみましょう。

朝食を食べないことと心臓病の関係

朝食を食べないと、肥満や高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病の発症率が高まることは以前から報告されています。これらの生活習慣病はすべて心臓病と深い関係にあるため、この生活習慣病が増加すると心臓病の発生率も高くなることが想像できます。

ただ、朝食を食べないことと心臓病の直接的な関係についての報告は多くありませんでした。

そこで、Richardらは朝食を食べないことが心臓病とどう関係しているのか、多くの論文の結果を確認し、まとめたものを報告しています。最終的にはアメリカと日本、それぞれ2つずつの論文が採用されています。

Cahillらは、45〜82歳の男性約2万7000人を対象に16年間追跡した結果について報告しています。基礎疾患や食事内容などで調整した結果、朝食を食べない人は冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症など)になる可能性が18%高くなるとしています。

Kubotaらは、約8万3000人の日本人のデータを解析し、週0−2日間しか朝食を食べない人は、毎日朝食を食べる人と比べると、心臓病になる可能性は14%も高くなると報告しています。ちなみに脳梗塞になる可能性は18%、脳出血を起こす可能性は36%高くなっていたことも併せて報告しています。

Rongらは、アメリカの健康・栄養調査の結果をもとに解析した結果についてまとめており、全く朝食を食べない人は、毎日朝食を食べる人と比べ、心臓病で亡くなる可能性は87%高くなると報告しています。

Yokoyamaらは、日本人の生活習慣とがんとの関係についてまとめた報告の中で、朝食を食べない人は循環器疾患で亡くなる可能性が、男性では42%高くなるとしています。ちなみに女性は差がありませんでした。

これら4つの報告をまとめると、朝食を食べない人は、習慣的に朝食を食べている人と比べ、心臓病になる可能性が21%高くなることが分かりました。また、Rongらの報告と、Yokoyamaらの報告から、全ての原因で死亡する可能性も32%高くなることもわかりました。

Richard.J Cardiovasc Dev Dis. 2019 Aug 22;6(3):30.doi: 10.3390/jcdd6030030.より引用改編

また、Guilhermeらは、113人の心筋梗塞患者(平均59.9歳、男性73%)を対象に、食事を食べる時間と心筋梗塞発症後の有害事象についての関係を調査しています。その結果、就寝する2時間前に夕食を食べ、かつ朝食を食べない人は退院30日以内に死亡したり、再度心筋梗塞を起こす可能性が、そうでない人の4.2倍になると報告しています。

なぜ朝食が重要なのか

朝食を食べないことと心臓病の発症には様々な関係性があると考えられています。

まず、朝食を食べないことで満腹感が低下してしまい、昼食や夕食で食べる量が増え、その結果として1日の摂取カロリーが過剰になり、インスリンの作用が低下する可能性が高くなる可能性が報告されています。

また、食事を摂った後に血糖値が上昇する幅が大きくなることもわかっています。この血糖値の急上昇は血管を傷つけ、動脈硬化につながりやすいことが報告されています。朝食を食べることで血糖値の急上昇のリスクを下げることができるため、血管を守ることにつながる可能性があります。

さらに、朝食を抜くと、食事を食べていない時間が長くなり、その結果として体がストレスを感じ朝の血圧上昇につながることも報告されています。

他にも朝起きられないから朝食を食べられない、ということも原因として考えられると思います。睡眠と心臓病の関係については、こちらにもまとめていますのでぜひ参考にしてみてください。

まとめ

朝食を食べないと様々な生活習慣病につながることがわかっており、心臓病になる可能性を高めてしまいます。規則正しい生活を送り、しっかりと3食食べるようにしましょう。

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