脚の筋力は加齢とともに低下することがわかっています。
筋力を維持することは寿命を長くするだけでなく、普段の生活の質を改善したり、趣味など好きなことを行うためにも重要です。
ただ、脚の筋力を正確に測定しようとすると、専用の機械を持っている病院などで測定する必要があり少々手間がかかります。
今回は自宅でも簡単にできる“30秒椅子立ち上がりテスト”という脚の筋力測定方法を紹介します。このテストは心臓病の方の体力とも関係性があることも報告されています。
定期的に筋力や体力を測定することで、いま行っている運動が適切な強度なのかを見直すきっかけにもなります。ぜひ一度やってみましょう。
準備するもの
- ストップウォッチ、タイマーなど30秒を測定できるもの
- 肘掛けのない椅子(高さ40cmのもの)
椅子の高さは40cmのものがおすすめですが、一般的に売られている椅子の高さは42cm前後のものが多いです。もし40cmの高さの椅子がなくても、毎回同じ椅子でテストをすることで結果の比較はできます。
方法
- 椅子の真ん中より少し前に座ります。
- 足は肩幅くらいに広げ、少し踵を後ろに引いてください。
- 両手は胸の前で組み、テスト中は体から離さないようにしましょう。
- 座った姿勢から、背中・腰・膝をしっかり伸ばして立ち上がり、1回とカウントします。
- お尻がしっかりと座面につくように座り、再び立ち上がります。
- 立って、座る動作を30秒間で何回できるかをカウントします。
注意点
- 膝や腰に痛みがあるときは無理に実施しないでください。
- 後ろにバランスを崩す可能性があるため転倒に注意してください。
年齢別の標準値
中谷らによって、年齢ごとの標準値が決められています。
天理大学体育学部体力学研究室 中谷研究室より引用改変
また、30秒椅子立ち上がりテストの回数とさまざまなリスクに関する報告もあります。
サルコペニア
加齢とともに筋肉量や筋力が低下する症状をサルコペニアと言います。
サルコペニアについてはこちらを参考にしてください。
Sawadaらは30秒椅子立ち上がりテストとサルコペニアの関係性について検討しています。その結果、男性では17回、女性では15回を下回るとサルコペニアの可能性が高くなると報告しています。
転倒
川端らは65歳以上の地域在住高齢者135例(平均73.8歳)を対象に30秒椅子立ち上がりテストと転倒の関係を調査しています。その結果、30秒椅子立ち上がりテストの結果が14.5回以下の場合は転倒の危険性が高くなる、と報告しています。
心臓病の方の再入院の可能性
Teramatsuらは身体機能と心不全患者の1年以内の再入院との関係性について報告しています。この研究では身体機能を測定する方法として、6分間歩行テスト、膝を伸ばす筋力測定、握力、30秒椅子立ち上がりテスト、片脚立ちできる時間などを実施しています。
その結果、6分間歩行テストが最も再入院と関連があり、382.5m以下の場合は危険性が高くなるとしています。そして、30秒椅子立ち上がりテストでは、13.5回以下だと再入院の危険性が高くなるとしています。
6分間歩行テスト、握力についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
まとめ
筋力は加齢とともに低下しますが、しっかり運動を行い鍛えることで年齢に関係なく強くすることもできます。
そして、定期的に脚の筋力や体力を測定することで、普段行っている運動の効果が出ているかどうかがわかります。
このテスト以外にも、心臓病の方の体力を測定する方法があります。
私たちは定期的に体力測定会を開催していますので、ぜひ参加してみてください。