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こんにちは、循環器専門医のまるです。今回は「BNPが低くなった=心臓病が治ったのか?」という疑問について、医師の立場からわかりやすくお話ししていきます。
BNPって何?基本からおさらい
BNPは、心臓の状態を調べるための血液検査の項目で、心臓内の圧が高くなると上昇します。たとえば心不全が悪化しているときや、体に水分が溜まっているとき、心臓に大きな負荷がかかっているときにBNPは高くなります。
一般的にBNPが高いと不安を感じ、低いと安心する傾向があります。診療ガイドラインにも、BNP値が高いほどリスクが高くなることが示されています。
BNPが低い=心臓病が治った?
結論から言うと、BNPが下がったからといって「心臓病が治った」とは限りません。BNPが下がったのは心臓病のコントロールが一時的にうまくいっているサインにすぎません。完全に安心できる状態とは限らないのです。
以下の図にあるように、心臓病の経過は山あり谷あり。入退院を繰り返しながら、徐々に体力が落ちていく傾向があります。そしてBNPの値も、この体調のアップダウンに比例して変動します。

一度受けた心臓のダメージは元には戻らない
心筋梗塞の例
心筋梗塞とは、心臓の筋肉が血流不足で壊死してしまう病気。例えるなら、干からびた畑の作物が枯れてしまったようなもの。一度ダメージを受けた心筋は、再び元の元気な状態には戻りません。
弁膜症の例
弁膜症は、血液の逆流を防ぐ心臓の弁が壊れる病気です。これは、逆流を防ぐ遊園地のゲートが古くなって壊れたような状態。いくら修理をしても、新品同様には戻りません。これと同様に、弁膜症で受けた心臓のダメージも回復が難しいのです。

BNPは日常的に変動する数値
BNPは固定された数値ではなく、以下のような影響で変動します。
- 心臓の状態(悪化すれば上昇、改善すれば下降)
- 血圧や体内の水分量
- 腎機能
- 一日の時間帯(朝が最も低く、日中に上がる)
そのため、BNPがたまたま低かったとしても、「心臓が若返った」と早合点してしまうのは危険です。
心臓とうまく付き合うためにできること
悪い習慣を見直そう
こちらの図は、心不全が悪化する主な原因を示したものです。
- 水分や塩分の摂取が多すぎる
- 感染症(風邪など)
- 薬の飲み忘れ
- 過労やストレス
まずは、水分・塩分の制限を守ること、薬をきちんと飲むことを徹底してください。
良い習慣=適切な運動を取り入れよう
心臓にやさしい運動習慣を取り入れることで、心臓病の再発を防ぎ、元気に長生きできる可能性が高まります。
ただし、運動強度が高すぎると逆効果になります。怪我や心臓への悪影響も考えられるので、「弱すぎず、強すぎず」の中等度の運動が大切です。あなたに合った運動を見つけ、無理なく続けましょう。
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まとめ:BNPが下がっても安心しすぎないで
BNPが下がるのは良い兆候ですが、それで心臓病が治ったわけではありません。心臓は、20歳の頃のようには戻りません。だからこそ、今の心臓と上手に付き合いながら、日々の生活を見直すことが大切です。
心臓に悪い習慣を減らし、心臓に良い習慣を増やすこと。それが、あなたの未来の健康を守るカギになります。