生活習慣病外来で個別指導の指摘が多いポイント3選――外来管理加算・管理料・在宅酸素/自己注射のカルテ記載

生活習慣病の外来は、毎月、ほぼすべての患者さんに同じ点数を算定する診療です。だからこそ、カルテ記載に1つ型の不備があると、それが全患者に広がります。個別指導で不備を指摘されると自主点検を求められ、同じ型のものは指摘された分と併せて自主返還の対象になります。

この記事では、第48回日本高血圧学会総会(2026年10月)の診療保険委員会企画で筆者が講演した内容をもとに、生活習慣病外来で厚生局から指摘を受けやすいポイントを3つに絞って解説します。それぞれ、令和8年度改定後の算定の基本、各厚生局が公表している実際の指摘、返還を防ぐカルテ記載の例の順にまとめました。改定で算定できる場面が広がった点数は、前回のコラム「令和8年度改定で生活習慣病外来の収益源になり得る点数3選」で紹介しています。今回はその「守り」の側です。

丸目恭平(循環器専門医・元厚生労働省医系技官)

執筆者:丸目 恭平(まるめ きょうへい)

循環器専門医/元厚生労働省 医系技官(循環器病対策専門官)/株式会社Doctock 代表取締役(国立循環器病研究センター発ベンチャー)

  • 医師として:循環器専門医として、現在も診療に従事しています。
  • 制度をつくる側として:令和6年度の診療報酬改定時は厚生労働省に在籍し、保険局医療課との折衝を経験しました。現在は日本高血圧学会 診療保険委員、日本心臓リハビリテーション学会 診療報酬対策委員として、学会要望の議論に参加しています。
  • 支援する側として:医療機関の個別指導・適時調査の対策支援を行い、実際の個別指導の場にも同席した経験を持ちます。

なぜ生活習慣病外来は指摘が集まりやすいのか

北海道厚生局が公表した令和6年度の集計では、新規個別指導・個別指導を受けた医科103機関のうち、医学管理等の指摘を受けたのは61機関(59.2%)、在宅医療の指摘は50機関(48.5%)でした。生活習慣病外来で毎月算定する外来管理加算・特定疾患療養管理料・在宅療養指導管理料は、いずれも聴取事項や管理・指導の内容の要点を診療録に記載することが要件に含まれ、生活習慣病管理料では療養計画書の交付と写しの添付が求められます。診療はしているのに、記載がないために返還になる。この構図が、3つの領域に共通しています。

ポイント北海道厚生局 令和6年度の集計(指摘件数のうち返還)指摘の中心
① 外来管理加算17件中9件(52.9%)聴取事項・診察所見の要点の記載がない
② 生活習慣病管理料・特定疾患療養管理料など特定疾患療養管理料 29件中23件(79.3%)管理内容の要点がない・画一的、対象外の主病で算定、療養計画書の不備
③ 在宅酸素療法・在宅自己注射在宅自己注射 42件中34件(81.0%)、在宅酸素療法 8件中5件(62.5%)適応の根拠・指示事項・指導内容の要点がない、導入前の指導がない

① 外来管理加算:「何を聞き、何を診たか」を残す

算定の基本

外来管理加算(52点)は、処置やリハビリテーションなどを行わずに計画的な医学管理を行った再診を評価する、再診料への加算です。通知は、医師が丁寧な問診と詳細な身体診察(視診、聴診、打診及び触診等)を行い、病状や療養上の注意点を説明したうえで、患者からの聴取事項や診察所見の要点を診療録に記載することを求めています。

次の日は算定できません。生活習慣病外来で見落としやすいものを挙げます。

  • 処置・リハビリテーションなどを行った日。検査では、超音波検査等(心エコーを含む)、負荷試験等、内視鏡検査などを行った日も対象外です(心電図・負荷心電図を行った日は算定できます)
  • 電話等による再診の日、情報通信機器を用いた再診の日
  • 患者本人が来院せず、看護に当たっている家族などから症状を聞いて薬を出した日
  • 多忙などを理由に、簡単な症状の確認だけで継続処方をした日
  • 生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)を算定した日(管理料に含まれます。同じ月でも別の日の再診であれば、要件を満たせば算定できます)

厚生局の指摘事例

  • 患者からの聴取事項や診察所見の要点について、診療録への記載がない又は不十分である(東北厚生局 令和5年度、中国四国厚生局 令和5・6年度、九州厚生局 令和5年度、東海北陸厚生局 令和5年度ほか。ほぼすべての厚生局に共通)
  • 患者本人が受診せず、やむを得ない事情で看護に当たっている者から症状を聞いて薬剤を投与した場合であるにもかかわらず算定している(九州厚生局 令和5年度、中国四国厚生局 令和6年度)
  • 問診と身体診察(視診、聴診、打診及び触診等)が行われていない。電話再診時に算定している(東海北陸厚生局 令和5年度)

対策:その日の患者さん固有の所見を1〜2行で

電子カルテの定型文を毎回コピーしているだけだと、「要点の記載」とは認められにくくなります。生活習慣病管理料を算定する日は外来管理加算を算定しないため、ここでは特定疾患療養管理料を算定する慢性心不全の再診を例にします。

S:坂道歩行での呼吸苦なし。夜間の呼吸苦なし。自宅での体重は前回から増加なし。服薬忘れなし。運動は週に90分程度
O:血圧 124/72、脈 68 整。心音 整・雑音なし、呼吸音 清、頸静脈怒張なし、下腿浮腫なし。
A/P:心不全の増悪所見なし。減塩と服薬を継続し、週に150分の運動を指導。体重が急に増えたときは受診するよう説明。質問なし。

記載例(慢性心不全の再診。特定疾患療養管理料と外来管理加算を算定する日)

② 生活習慣病管理料・特定疾患療養管理料:主病と療養計画書、管理内容の要点

算定の基本

管理料点数・回数主な要件
生活習慣病管理料(Ⅰ)脂質異常症 610点/高血圧症 660点/糖尿病 760点、月1回脂質異常症・高血圧症・糖尿病が主病。療養計画書を作成・交付し、写しを診療録に添付。検査等の費用を含む。令和8年度から、原則として必要な血液検査等を少なくとも6か月に1回以上行うことが要件に
生活習慣病管理料(Ⅱ)333点、月1回主病と療養計画書の要件は(Ⅰ)と同じ(6か月ごとの血液検査の要件はない)。検査等は別に算定し、外来管理加算と多くの医学管理料等を含む
特定疾患療養管理料診療所 225点、月2回別に定める特定疾患が主病。治療計画に基づく服薬・運動・栄養等の療養上の管理を行い、管理内容の要点を診療録に記載
難病外来指導管理料1270点、月1回対象の難病が主病。治療計画に基づく療養上の指導を行い、診療計画と診療内容の要点を記載

令和8年度から療養計画書への患者の署名は不要になりました。以前は計画書への患者の署名も求められ、個別指導で指摘されることがありましたが(近畿厚生局 平成28年度など)、計画書の作成・交付と写しの添付は引き続き必要です。

厚生局の指摘事例

  • 生活習慣病管理料:療養計画書を作成していない、又は交付していない。糖尿病の患者について、血糖値及びHbA1cの値の療養計画書への記載がない。高血圧の患者について、血圧の値の療養計画書への記載がない(九州厚生局 令和5年度)。療養計画書を4月に1回以上作成・交付していない(近畿厚生局 令和元年度)
  • 特定疾患療養管理料(管理内容の記載):治療計画に基づく、服薬、運動、栄養等の療養上の管理内容の要点について、診療録への記載がない、個々の患者の状態に応じた記載になっていない又は不十分である(東北厚生局 令和5年度。九州・東海北陸・中国四国でも同様)
  • 特定疾患療養管理料(主病):算定対象外である主病、主病でない疾患又は全身的な医学管理を行っていない疾患について算定している。いわゆるレセプト病名を主病として算定している(東北厚生局 令和5年度)。医学的な診断根拠がない主病について算定している(九州厚生局 令和5年度)
  • 難病外来指導管理料:診療計画及び診療内容の要点について、診療録への記載がない(北海道厚生局 令和6年度。九州・東海北陸でも同様)

対策:計画書は「数値」を、カルテは「今日の指導」を

  • 療養計画書には、治療管理に必要な項目(高血圧なら血圧、糖尿病なら血糖値・HbA1cなど)と目標を記入し、交付日と写しの添付を確認する(血液検査の結果を別に渡し、その旨を診療録に記載していれば、計画書の血液検査項目は省略できます)。交付の間隔が4か月を超えていないかを、事務スタッフと定期的に点検する
  • カルテには、画一的な定型文ではなく、目の前の患者さんのその日の状態に合わせた指導を記載する。例:「家庭血圧で朝の値が目標を超える日が週3日。味噌汁を1日1杯にする減塩を再指導し、次回まで家庭血圧の記録を依頼」
  • 主病は、全身的な医学管理の中心となっている疾患を1つに定め、病名欄とカルテで一致させる。レセプトコンピューターで管理料が自動算定される設定になっていないかを確認する

③ 在宅酸素療法・在宅自己注射:適応の根拠と導入前の指導

心不全や糖尿病の患者さんを診る生活習慣病外来では、在宅療養指導管理料の算定が少なくありません。点数が大きいぶん、返還になったときの影響も大きい領域です。在宅療養指導管理料に共通して、通知は在宅療養を指示した根拠、指示事項(方法、注意点、緊急時の措置を含む)、指導内容の要点を診療録に記載することを求めています。

在宅酸素療法指導管理料(その他の場合 2,400点)

対象となる患者は、通知で次のように定められています。

  • 高度慢性呼吸不全:導入時に動脈血酸素分圧55mmHg以下、または60mmHg以下で睡眠時・運動負荷時に著しい低酸素血症をきたす患者で、医師が必要と認めたもの。適応の判定には経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を用いることができます
  • 慢性心不全:NYHA Ⅲ度以上で、睡眠時のチェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数が20以上であることが睡眠ポリグラフィーで確認されている症例。SpO2の低下だけでは要件を満たしません
  • 肺高血圧症、群発期間中の群発頭痛(1日平均1回以上の発作)

算定にあたっては、動脈血酸素分圧の測定を月1回程度行い、その結果を診療報酬明細書に記載します(SpO2で代用できます)。SpO2の測定費用は所定点数に含まれ、別に算定できません。

在宅自己注射指導管理料(月27回以下 650点/月28回以上 750点)

  • 導入前に、入院または2回以上の外来・往診・訪問診療で、医師による十分な教育期間をとり、十分な指導を行った場合に限り算定できます。指導内容を詳細に記載した文書を作成し、患者に交付します
  • 点数の区分は、医師がその月に在宅で行うよう指示した注射の総回数で決まります
  • 導入初期加算(580点)は、初回の指導を行った月から3か月以内に限ります
  • 令和8年度改定で、糖尿病が主病の患者さんに生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)と在宅自己注射指導管理料を併せて算定できない取扱いは、告示で定める薬剤(インスリン製剤、GLP-1受容体作動薬、その配合剤、チルゼパチド製剤)を投与している場合に限定されました

厚生局の指摘事例

  • 在宅酸素療法:開始の要件を満たしていない(九州厚生局 令和5年度、東海北陸厚生局 令和5年度)。診療報酬明細書の摘要欄に、動脈血酸素飽和度が正しく記載されていない(中国四国厚生局 令和4年度)。指示事項、指導内容の要点について診療録への記載がない又は不十分である(東北厚生局 令和5年度)
  • 在宅自己注射:導入前に、入院又は2回以上の外来、往診若しくは訪問診療により、医師による十分な教育期間をとり、十分な指導を行っていない。指導内容を詳細に記載した文書を導入前に作成していない又は患者に交付していない(東北厚生局 令和5年度、九州厚生局 令和5年度)。導入初期加算を初回の指導を行った月から起算して4月以降に算定している(九州厚生局 令和5年度)
  • 共通:在宅療養を指示した根拠、指示事項、指導内容の要点について診療録に記載がない又は記載が不十分である(北海道厚生局 令和6年度ほか)

対策:導入時に「根拠」を、毎月「指示と指導」を

  • 導入時:在宅酸素療法なら開始時の動脈血酸素分圧またはSpO2、心不全ならNYHA分類と睡眠ポリグラフィーの結果(チェーンストークス呼吸、無呼吸低呼吸指数)を記載する。心不全で導入した月は、診療報酬明細書の摘要欄にも睡眠ポリグラフィーの実施日と無呼吸低呼吸指数を記載する。在宅自己注射なら、導入前の指導日(2回以上)と内容、交付した文書を記録する
  • 毎月:指示事項(酸素流量・吸入時間、注射の種類・単位数・回数)と、その日に行った指導の要点を記載する。在宅酸素療法では、その月の動脈血酸素分圧またはSpO2の値をカルテと診療報酬明細書に残し、酸素の使用状況も確認する

導入時:NYHA Ⅲ度。睡眠ポリグラフィー(○年○月)でチェーンストークス呼吸あり、無呼吸低呼吸指数 32。在宅酸素療法を開始。
指示:睡眠時 1L/分。息切れの増悪時・機器の不具合時は○○へ連絡。
注意点:火気から2m以上離す。流量と連絡先は装置に掲示済み。
本日:SpO2 96%(室内気)。夜間の装着状況を確認し、緊急時の連絡方法を再度説明。

記載例(慢性心不全の在宅酸素療法)

自院で点検するときのチェックリスト

新規個別指導では、連続した2か月分のレセプトから10人分程度が選ばれます。どの患者さんが選ばれても説明できるかを、次の項目で確かめてみてください。

  1. 外来管理加算を算定した日に、聴取事項と診察所見の要点がその患者さん固有の内容で書かれているか
  2. 心エコーなどの検査や処置をした日、家族のみの来院日、電話再診の日に外来管理加算を算定していないか
  3. 生活習慣病管理料の療養計画書が作成・交付され、写しが添付されているか。必要な項目(血圧・HbA1cなど)が記入されているか。前回の交付から4か月を超えていないか
  4. 特定疾患療養管理料の主病が対象疾患か(高血圧・糖尿病が主病になっていないか)。管理内容の要点が毎回書かれているか
  5. 在宅療養指導管理料を算定している患者さんに、特定疾患療養管理料を併せて算定していないか
  6. 管理料がレセプトコンピューターで自動算定される設定になっていないか
  7. 在宅酸素療法の開始時の適応の根拠と、月ごとの動脈血酸素分圧またはSpO2の値が、カルテと診療報酬明細書に記載されているか
  8. 在宅自己注射の導入前の指導(2回以上)と、交付した文書が記録されているか。導入初期加算は3か月以内か
  9. 長期処方・リフィル処方箋に対応できることを院内に掲示しているか

まとめ

ポイントよくある指摘記載で押さえること
① 外来管理加算聴取事項・診察所見の要点がない。家族のみ来院・電話再診・処置やリハビリの日に算定その日の患者さん固有の聴取事項と所見、説明した内容
② 生活習慣病管理料・特定疾患療養管理料など療養計画書の未作成・未交付・数値の未記入。管理内容の要点がない・画一的。対象外の主病や自動算定計画書の数値と交付、主病の妥当性、その日の指導内容
③ 在宅酸素療法・在宅自己注射開始の要件を満たしていない。導入前の指導と文書交付がない。指示・指導の要点がない導入時の適応の根拠、導入前の指導記録、毎月の指示事項と指導内容

収益を上積みするためにも、個別指導で身を守るためにも、まずルールを正しく把握することが最も効率のよい備えです。

カルテを第三者の目で確認したい先生へ

自院のカルテが厚生局の目でどう見えるかは、自分ではなかなか分かりません。毎月同じ書き方を続けているほど、慣れた書き方の不足に気づきにくくなります。本来、先生の時間と集中力は目の前の患者さんに向けられるべきもの。制度と現場の間にある溝を埋めることが、当社の役割だと考えています。

当社の「個別指導・適時調査 対策支援室」では、元厚生労働省医系技官で現役の循環器専門医が、厚生局の指導医療官と同じ視点でカルテとレセプトを確認し、記載の改善点をフィードバックします。遠隔で進められ、初回相談は無料です。

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関連コラム

出典

  • 「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号):A001 再診料 注8・注9、B000 特定疾患療養管理料、B001 7 難病外来指導管理料、B001-3 生活習慣病管理料(Ⅰ)、B001-3-3 生活習慣病管理料(Ⅱ)、C101 在宅自己注射指導管理料、C103 在宅酸素療法指導管理料(医科点数表 PDF)
  • 「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日 保医発0305第6号)(医科 PDF)
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 7.外来医療の機能分化・強化等」(PDF)、「令和6年度診療報酬改定の概要【外来】」(PDF)
  • 各地方厚生(支)局が公表した個別指導の主な指摘事項(医科):北海道厚生局(令和6年度)、東北厚生局(令和5年度)、東海北陸厚生局(令和5年度)、近畿厚生局(令和元年度)、中国四国厚生局(令和4〜6年度)、九州厚生局(令和5年度)
  • 「指導大綱における保険医療機関等に対する指導の取扱いについて」(平成7年12月22日 保険発第164号)
  • 「特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第71号):特定疾患療養管理料の対象疾患(別表第一)、生活習慣病管理料の対象外となる薬剤

監修:丸目恭平(循環器専門医・元厚生労働省医系技官)/最終更新:2026年10月6日
※ 本記事は公表資料に基づく一般的な情報提供です。指摘事例は各年度・各地域で公表されたものであり、指導の運用には地域差があります。算定の可否は個々の患者さんの状態と診療録の記載によって異なり、結果を保証するものではありません。最新の告示・通知・疑義解釈と所管の地方厚生(支)局の案内をご確認ください。当社は官公署へ提出する書類の作成代行は行いません。

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